孫子

【孫子の兵法】謀攻篇:3-12『将とは国の輔なり』

孫子の兵法、謀攻篇(ぼうこうへん)。

第3章、第12節の解説です。

 

今回のタイトルは、

『将とは国の輔なりです。

(しょうとは くにの たすけなり)

 

将は、将軍ですね。

「輔」は、補佐するということ。

助けるってことです。

 

つまり、

「将軍は、国の補佐役だよ」

という意味なのですが、まあこれだけだと普通のことですよね。

 

実はこれは、言葉にはしていない意味があります。

孫子お得意の、ディスりが入っているのです。

 

 

この場合は、

 

「将軍は、国の補佐役だよ」

(だから、そもそも国がしっかりしていないと、勝てるものも勝てないよ)

 

という、皮肉の意味となっています。

 

どういうことなのか?

見ていきましょう。

将とは国の輔なり

将とは国の輔なり

「将とは国の輔なり」

孫子では、次のように記述があります。

 

国家の補佐役である将軍が、

  • 君主と親密ならば、その国家は必ず強い
  • 君主と隙間があれば、その国家は必ず弱い

 

連携がめっちゃ大事だよ

ということです。

 

なぜ、そんな当たり前のことを書くのか?

 

 

それは、この孫子が書かれた時代、

古代中国の軍制は、徹底的な文官統制だったからです。

 

分かりやすく言うと、

剣を握っている人よりも、

ペンを握っている人の方が、権力があったということです。

 

で、さらに、

そのペンを握っている人(君主)の命令を受けて、

その部下が軍に同行して、将軍に指示を与えていました。

 

もしこのとき、

君主と将軍の連携が取れていなかったら、

どうなるでしょうか?

 

「え?さっきは将軍こう言ってたけど、君主の部下が来てまた違うこと言い出した…」

と、現場にいる兵士たちが混乱するわけです。

 

 

「現場監督」と「社長」の意見が食い違って、

困っている社員、みたいな感じです(笑)

 

将軍は、軍隊に命令を与える権利を持っていますが、

それは君主に一時的に与えられたものです。

 

所有権は君主にあり、

君主の部下がいつも監督していて、非常にやりづらいわけです。

 

そういう背景があり、

「将とは国の輔なり」

(現場のこと分からない君主は、助けることはできないよ)

と、わざわざ孫子に書いてあるわけです。

できない君主にありがちなこと

孫子を書いた孫武はドSなので、

具体的として、「できない君主あるある」を3つ書いています。

 

  1. 軍隊が進んではいけない状況で「進め」と命令すること。または、退いてはいけない状況で「退け」と命令すること
  2. 軍隊のそのときの目標を知らないのに、将軍と同じように命令を与えること
  3. 軍隊の上手な利用の仕方を知らないのに、将軍と同じように指揮を取ること

 

「こんなふうに、軍隊の命令系統をかき乱すのは、自分から勝利を捨てているのと同じだよ」

と、孫子には書かれています。

 

 

つまりまとめると、

「頼むから勝手に命令するな。連携取ってくれ」と、

マイルドに君主をディスっているのが、この12節というわけです。

 

2500年前にこれが書かれていることを思うと、

人間って変わらないな〜って思いますよね(笑)